関西では、端午の節句の内容が違うんだ・・・
関東で生まれ育ち、進学や就職、結婚を機に関西に移り住んで、色々と風習の違いに驚いたという人も多いのではないでしょうか。
同じ日本で、同じ行事をするのだけれども、地域によって色々と風習に違いがあります。
男の子の健やかな成長と無病息災を願って行われる「端午の節句」もその一つです。
端午の節句では、関東と関西で何が違うのでしょうか。
今回は、「端午の節句において関東と関西での違い、張り子の虎やちまき」についての情報をお裾分け致します。
端午の節句は関東と関西で何が違うの?
関東と関西では、食文化をはじめ、色々と違うのはご存知だと思います。
では、端午の節句においては、どんなことが違うのでしょうか。
≪端午の節句での違い≫
違うもの | 関東 |
関西 |
五月人形を贈る人 | 嫁ぎ先の実家 |
嫁婿さん側の実家 |
五月人形の飾り | 兜飾り |
鎧飾り |
張り子の虎 | - |
贈る |
食べ物 | 柏餅 |
粽(ちまき) |
■五月人形を贈る人
昔は、お嫁さんやお婿さんのご両親は、嫁ぎ先に遠慮し、気軽に子どもや孫に会いに行くことが出来なかった時代でした。
そのため、孫の成長を祝うイベントの際、お祝いの品を準備して、子どもの様子や孫の成長を確認しに行くようになったのだそうです。
関西では、この風習が残っており、五月人形をはじめその他お土産などは、お嫁さんやお婿さんのご両親が受け持つことが多いようです。
一方関東では、男の子は嫁ぎ先の跡取りなので、名を継がせるために、嫁ぎ先で全てを準備するということが多いですね。
■五月人形の飾り
関西では、豪華な「鎧飾り」が主流で、関東ではコンパクトな「兜飾り」が主流となっているようです。
「張り子の虎」と「食べ物」については、次項で説明しますね。
端午の節句に張り子の虎を飾るもの?
「張り子の虎」と聞いて、どんなものか想像できますでしょうか。
関東の方だと、知らないという人の方が多いのではないでしょうか。
東北地方の方だと、「赤べこ」と同じものといえば、『あ~、あれね!』とイメージ出来ると思います。
「張り子の虎」というのは、首の部分が上下に左右に振り子のように動く張り子の虎人形のことなんですね。
では何故、関西地方では、張り子の虎を端午の節句に贈るのでしょうか。
その由来についてご紹介していきましょう!
中国の神話において、「四神(しじん)」と呼ばれる霊獣(青龍、朱雀、白虎、玄武)がいます。
その中でも「龍」と「虎」は強いイメージがあり、神様、王様として崇拝されてきました。
その一つである「虎王崇拝」が日本に伝わり、日本の王様(将軍など)の住まい(襖、屏風、掛け軸など)に虎が描かれるようになりました。
童話の一つである「屏風の虎」もご存知の方も多いですよね。
室町時代、将軍である足利義満に「一休さん」という小僧さんが城に呼ばれ、『屏風に描かれた「虎」を捕まえてみよ。』というお話です。
当時、都があったのは京都です。そのため京都を中心とし関西に「虎王崇拝」が広がっていくことになります。
そして時代が流れ、江戸時代になると「端午の節句」が日本各地で行われるようになります。
江戸時代の末期に、九州から始まった「コレラ」という疫病が大阪で流行し、小さな子どもをはじめ、多くの方が亡くなりました。
このコレラは、これまでの疫病とは違う高い死亡率でした。
このため、一日に千里を走るとされた虎のイメージから「虎列刺」、「虎烈刺」という漢字が当てられました。
この疫病であるコレラに効いたと言われているのが「虎頭殺鬼雄黄圓(ことうさっきうおうえん)」という丸薬です。
この丸薬とともに、病名にも当てられた「虎」の張り子をお守りとして渡されるようになりました。
このようにして、虎の強いイメージと疫病から守ってくれたこと、そして魔除けの意味から、端午の節句のときに、「張り子の虎」を贈るようになったのですね。
≪虎の張り子に込められた意味≫
■虎のように強く、たくましく育つように
「虎は千里往って千里還る」ということわざがあるように、活気にあふれ、行動力がある虎のようにたくましく育って欲しいという願い。
■無病息災
コレラを治す薬となった「虎頭殺鬼雄黄圓」にちなんで、病気にかからず、健やかに育ちますようにという願い。
■魔除け、厄祓いのお守り
四神のひとつである「白虎」は、西の方位を守る守護神です。このため魔除けや厄払いの意味があります。
当時、大阪の道修町(どしょうまち)にある「少彦名(すくなひこな)神社」で施薬された、虎の骨など10種類の和漢薬を配合した丸薬
虎の骨は、漢方薬として神経痛に効くとされており、また疫病除けとして「鬼を裂く」と言われています。
端午の節句のちまきはお菓子なの?それともご飯?
端午の節句の時に食べるものといったら、関東では、柏の葉っぱに包まれた甘い餡子が入った白いお餅である「柏餅」ですよね。
でも関西では、もち米やうるち米の粉を笹の葉などで包み、藺草(いぐさ)で固く縛り、蒸して作った「粽(ちまき)」です。
中国から節句が日本(平安時代の頃)に伝わったとき、粽も一緒に伝えられ、都があった近畿で広まり、やがて全国へと広がっていきました。
その後江戸時代になり、端午の節句のお祝いの際、縁起の良い「柏の葉」で包んだお餅が、江戸の武家に重宝されるようになりました。
この「柏の木」ですが、西日本ではあまり自生せず、少なかったということもあり、関西では広がらなかったのです。
その為、江戸時代以降において、関東では「柏餅」、関西では「粽」が定着し、親しまれるようになりました。
柏の葉は、新芽が出ないと古い葉が落ちないという特徴があります。
これを人間に例え、「子どもが産まれるまで親は死なない」という意味になり、「家系が途絶えない」という縁起に結びつけ、武家に重宝されていました。
「柏の葉」⇒「子孫繁栄」との意味が込められているのですね。
ちなみに、関東で「ちまき」というと「中華ちまき」を想像する人が多いのではないでしょうか。
「中華ちまき」は、もち米に豚肉や筍、椎茸などを混ぜ、甘辛く味付けしたものを、笹の葉や竹の皮で巻いて藺草(いぐさ)で縛り、蒸し上げたものです。
お菓子というよりは、ご飯ですね。
そのため、関東の方が関西に行き、「ちまき」を頼んで、笹の葉をめくってみたら、中身が白いのでビックリします!
逆もまた然りですが・・・。
端午の節句は関東関西で何が違う? まとめ
今回は、「端午の節句において関東と関西での違い、張り子の虎やちまき」についての情報をお裾分け致しました。
如何でしたでしょうか?
男の子を祝う端午の節句、同じお祝いをするのに地域によって、考え方や食べ物などが違うんですよね。
風習が違えど、子どもを大切に思う気持ち、たくましく成長して欲しいと願う気持ち、無病息災を願う気持ちなどは、地域に関係なく同じです♪
各地域の伝統と歴史を振り返り、端午の節句のお菓子を味わってみるのもいいかもしれませんね。
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